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てんてんについて / その他雑記

 

 

半年以上ぶりに見たてんてんは、やっぱりてんてんでしかなかった。

 

最後の最後の青空ギロチンのサビ、

満身創痍、髪も顔も汗でぐちゃぐちゃぼろぼろ、声が出なくてマイクも持たない、

普通ならこんなボーカル、こんなヴィジュアル系バンドマン最低すぎるだろ。

でもそのあまりのボロボロさが、今にもこの人は倒れて死んでしまうのではないかと思わせる姿が、そんな人が処刑の瞬間を待つように両腕を拡げる姿が、あまりにも痛々しくて美しかった。

これが、私の見たかったてんてんだった。

 

灰色の森に、「ねえ誰よりも綺麗でしょう?誰よりも壊れてるでしょう?」

なんて歌詞があるけれど、てんてんはきっと、未だに自分に金を払って足を運ぶ人間が何を見たいと思っているのかをよくよく理解しているのだろうと思う。

そして、それを見せられるのが自分だけで、自分にはそれしか見せられないということも。

 

バンドマンは不器用な方が美しい。

もう本当に自分にはステージしかない、音楽しかない、バンドマンという道しかない、そうやって追いつめられた人間が発揮するパワーにはものすごいものがある。

だからバンドマンには不器用でいてほしい、不器用なバンドマンが好きだ、といつも思う。

一般社会では到底生きていけないような、だからこそステージにしがみつくてんてんの不器用さが好きだ。泣いてしまいそうになるくらい好きだ。

だって、I HATE SUNDAYの歌詞、「ずっと夢見てたから戻れなくてもいいのさ 僕の手を離さないでね」だよ。

 

私は決していいファンじゃないし、必死なバンギャルでもない。

そのどちらにもなれなかった。

本当にてんてんを好きな人から見たら、こんな記事を書いてることすら疎まれてしまうだろう。そのくらい、私がてんてんに注いできた愛情は小さくて、幼くて、独りよがりなものだった。きっとそれはこれからも。

 

それでも、私にとっては人生の中で一番特別。

それは、今以上に生きることに何の楽しみも価値も見出せなくて、無気力で、何もしたくなくて死ぬことを本気で考えていた私に、

苦しみながらも必死に生きている人間の姿を、初めて見せてくれた人だから。

不様で、みっともなくて、ボロボロで、今にも死にそうで、それでも必死に生きようとする人の美しさを、初めて教えてくれた人だから。

こんな人がこの世にいて、お金を払って足を運べばそれを見れるのならば、もう少しだけ生きていてもいいかもしれない、と。

「サブが俺の歌を好きって言ってくれたから」と涙目で話すてんてんを見ながら、

約5年前、そう思ったことを少しだけ思い出した。

2010年、10月14日 Stand by Me

 

 

 

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5年前といえば、そう、あの人が亡くなった日ですね。

私がてんてんを見ることになったきっかけは、紛れもなく5年前の今日でした。

そうじゃなくても、てんてんの音楽を聴いてみようと思ったきっかけも、紛れもなく5年前の今日でした。

もし何かが少しだけ違っていれば、私はきっと一生てんてんを見ることもなかったかもしれない。

そもそもライブハウスに足を運ぶことすらなかったかもしれない。

 

一度も見ることのなかったバンドマンについて語るのは気が引ける。

だからどういうところがどう好きだとかは、滅多に口にしないようにしてるけれど。

ただ5年経った今、私を取り巻いているものは全部あの人のおかげで、あの人のせいなんじゃないかと本気で思ってしまうほど、あの人に結ばれた縁だとか、あの人がいなかったら絶対に知り合ってなかった人とか、あの人を愛している人たちが周りにいる。

おこがましいけれど、この5年間、あの人の音楽に生かされてきたんだと思う。

 

私がてんてんの誕生日を来年も再来年もずっと祝いたいと考えているのは、

てんてんが好きだからというだけではなく(勿論それが一番大きいですが)、

あの人が見ることのできなかったてんてんを見ることができる、

あの人が祝うことのできなかったてんてんの誕生日を祝うことができる、

そのことに、私自身が今生きている意義や価値を見出してしまっているから。

 

代わりになることは絶対できないけれど、誰よりもてんてんを愛していたあの人が見れなかったてんてんの最期を看取りたい。

それが一人でも客が多い方が輝きを増すてんてんにも、

未だに私に素敵な縁を取り持ってくれているあの人にも、

私ができるただ一つの恩返しというか、感謝の示し方なんじゃないかなー、と。

まあ結局はただの自己満足でしかないんだけど。

 

 

今年の夏は暑いから早く終わってほしいなあ