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2014/10/29 bask in the deep x chop "halloween" presents bask in the deep new EP release live 『滅びの果て、再生の花。』 @池袋 手刀

 

 

 

 

16日以降、あがりにあがりまくって何にも超えられないくらいどうしようもなく高くなっていたハードルは、正攻法で越えられたのではなく、真上から木端微塵にぶち壊されました。

 

他のバンドさんも素敵だったんですが、あまりにも書ききれないのでバスクのことだけ書かせてください。

 

 

 

 

 

堕罪の日

陽炎

桜と羽根と

スイソウ

紅蓮

 

EN : うたかたのゆめ

 

 

幕が開いたら16日と同じ?かな?アンビエント系のSEが流れてきて、一人一人が静かに、拍手をもらいながら持ち場につく。

上手に淳平さんが立ったとき、よくわからないけどすーっと安心したのを覚えてる。

しょーごさんはいつも以上に穏やかで精悍な顔つきに見えた。

平阪さんは真っ黒な髪と、真っ黒で首元まで閉まったタイプの新衣装に、赤い口紅と、病的なほどに青白い肌が、あざとさすら感じるほど映える。暗いステージだからこそ余計に。暗闇に浮かぶ青白い肌。

 

 ギターのノイズから始まって、堕罪の日のイントロの山本さんのベースは、いつも以上に骨太で、且つ歪んだ、ノイズ音に近い音色に聞こえた。もうこの時点でがっしり心鷲摑みにされてた。

 やっぱり淳平さんの上物のギターは綺麗。今までのバスクならあり得なかった、丸くてやわらかい音(イメージで言うなら、半透明の白い、ピンポン玉サイズの水晶体の球体のような)と、宙を泳ぐようなふわふわとしたフレーズ感(逆に言えば、平阪さんのギターはどこまでも泥臭くて地を這っている)が、バスクの音としてぴったりはまって、音の幅だけではなく、音がつくりだす空気や世界観まで、深く、広く、拡張させているのが特に意識していなくてもわかった。

 

 陽炎は、淳平さんの上物系のギターの音が、歪んでるのに甲高くて耳を持っていかれた。ギターのことよくわからないのであれなんだけど、うーん。

歌詞に「星空」てあるけど、今までは低い地面から見上げていた煌めく星空が、もう手を伸ばしたら届いてしまいそうで、星が降ってきているようで、むしろその星空の中にいるかのような。そんな感じに聞こえて、わーすごい、なにこれ、すごい、この人のギターすごい、って。あ、あとサビで淳平さんがコーラス歌ってたのびっくりした。なんとなくコーラスとかやらないと思ってたので。

「綻びに気付けぬまま」で、何かを祈るように指を組み合わせて歌う平阪さんは、不器用で、哀しくなるくらい人間臭さにあふれてるのに、はっと息を呑むほど美しかった。

 

桜と羽根と、聴けると思ってなかったからびっくりしたし嬉しかった!

初めて聴いたときは確か、baskと春がミスマッチすぎて痛々しくて(それもまた皮肉に良かったんだけど)、3月25日にアンコールで見たときは、幸せいっぱいムードだったのに儚さが際立って、笑えばいいんんだか泣けばいいんだかわからなくなってしまったなあ、とか。何で目の前のステージを見てそんなことを思ったのかというと、この日のは、とても力強くて頼もしかったからなんだよね。人数が音数が単純に増えたからっていうだけでは多分無くて、bask in the deepっていう一つの生命体として、一回りも二回りも大きくなったように見えた。baskにもやっと春が来たんだなーって。一年と少し前に初めて見たときは、雪の降る真冬だったので、その前のことは話でしか知らないのに、「やっと」なんて思ってしまった。

 

陽炎のときからめそめそこらえながら泣いてたんだけど、二回目のBメロ(「ただ憎むように~」のとこ)で、内側からこみあげてくるものがあってこらえきれなくなって泣き崩れた。それでその後は意識が飛んでしまってよく覚えてないんだけど、間奏部の平阪さんと淳平さんのギターの掛け合いがあんまりにも格好良くて、声は出ないんだけど叫びだしたくなるというかなんかこれ伝わんないな、、、うん、、、タイプの全く違うギター同士が激しく絡み合ってるのまじ格好良かったんですよえーん、ってことです。

 

スイソウ。

海の底に沈んだような照明の中にいる平阪さんがやっぱり綺麗だった。淳平さんのギターがまた好きだったーもうだめだー。特に間奏部の平阪さんとの掛け合いの部分。こころなしか、桜と羽根と、とは真逆に、一人の人がどちらの音も同時に鳴らしているかのようななんというか。繊細な音と音との重なり合い。

一瞬照明が真っ暗になって(とても深い暗闇に見えた)からの、「駆け出して~」って曲が動き出すところ、ステージの上の4人のシルエットが格好良かった。陰をも背負った上での力強さ、というか。ここのしょーごさんのドラム、凛としてて好きだなあ。

アウトロ、平阪さんが泣くように、自分を切り刻むようにギターを弾く姿が好きです。

4人体制のスイソウは、聴きたかったような聴きたくなかったような、だったので、始まったときは一瞬にして気分が昂揚したけれど、終わるときには、ああああああ聴いてしまったあああああああって、なって笑。スイソウを聴いてしまったら、もう戻れない気がするんですよ。よくわからないけど。

 

紅蓮は格好良かった。出だしのめっちゃ細かい平阪さんのギターのフレーズ、今までで聴いた中で一番ちゃんと一音一音綺麗に流れて決まってた。少し余裕すら見えた。その後は轟音の心地よさとあまりの格好良さに思わず笑った。本当は声をあげてげらげら笑いたいくらいだった。情念の赤色もさらに深く感じたなー。もう本当に、下世話なことを言うと、あの轟音の中で感じたのは精神的なもの通り越して性的な興奮ですらあったような。特に、あの空間が張り裂けてしまうような間奏部!最後のサビの前のあれね!!もう!なんなの!!この音は!!!!なに!!

あ、もしかして私あのとき死んでたんだろうか(真顔)。

紅蓮は、3人体制のときは結構いっぱいいっぱいだった印象がある。曲がめちゃくちゃ格好良いのは元からわかっていたけど、逆に曲がバケモノすぎて手なずけるのが精一杯に見えた。慣れて来たから、っていうのも勿論あるんだろうけど、4人になってちゃんと余裕を持って手なずけることが出来るようになったような。めちゃくちゃ細かいギターのフレーズもそうだけど、全体的に、特に平阪さんは、淳平さんにある程度ギターパートを任せられるようになったことで、ボーカル、フロントマンとしての表現にも正面から向き合うことができるようになったんだなあ、って。どの曲でも感じるけど、紅蓮が一番顕著にそれを感じる。

最後、ノイズで終わるところ、いつもの数倍長くて、心地よさがずーっと続く中、平阪さんと淳平さんと山本さんがほぼ同時に同じようにスッと楽器を持ち上げて、しょーごさんが臨戦態勢じゃなくなって、「あっ」ってなった。「あっ終わっちゃう、やだ」って頭は思ってたのに、手は勝手に拍手してた。4人がいなくなってもノイズは止まないまま幕が下りた。

 

少しして、自然とアンコールの流れになって、メンバーも割とすぐ出てきた…..と思ったら頭になんか可愛いものを被ってきたしょーごさんがチョコレートをばらまきながら出てきて、「天使だ」と思った笑。山本さんの南瓜も不似合に似合ってて可愛かった―笑。淳平さんがポムポムしてたのは目に入った瞬間に爆笑した。宗教上の理由で南瓜じゃないんだって。平阪さんはグラサンかけてお前誰だよって喋り方(訛りまくった田舎のヤンキーみたいな)で、見た目的には似合ってるのに振る舞いがぎこちなさすぎてめっちゃ笑った。

ルナシーネタが一切通じないことに、「え、なんで通じないの?みんなるなしー隙でしょ?は?意味わかんないんだけど」とガチキレするポムポム淳平氏。まじハイライト。

脱ぐの?脱いでやる感じ?とかなんとかってわちゃわちゃステージの上でやりながら全員脱いで、平阪さんもグラサン取って、私すごく平阪さんの目が好きなんだなあああああああと改めて気づいた笑。

 

滅びの果て、再生の花。

今まで俺達はずっと呪いのような歌を歌ってきました。でも、滅び果てた想いは、土に埋まり、やがて、そこから、そこから、花が咲きます。世界は終わらない。俺達のものも、そして、あなたたちのものも。

 

あれ、うたかたのゆめ来ちゃうかなまさかなってどぎまぎしながら聞いていたから全部覚えきれなかった。上にあるのは頭の中に断片的に残った言葉なのであまり参考にしすぎないでください。

 

うたかたのゆめ

 

個人的には、ばskの中でダントツに一番思い入れがあって絶対的に一番好きな曲なんです。本当に本当にまさか主催のアンコールでやるだなんて思ってもみなかったし、あまりにも良すぎて、もう俺は何を想えばいいんだ状態、というか….

ただ、新しいbaskは力強くて頼もしくて格好良いなあ、とまた思った。何度も言うようだけど、今まで欠けていた何かがようやく埋まって、探していた最後のピースがようやく見つかって、それでようやく胸を張って前を見据えて突き進んでいける状態になったんだな、って。そういうものが音にも滲み出ていた。

演奏が始まった瞬間、さっきまでハロウィン仕様でわちゃわちゃやってた人達とは、まるで別人のようにオンオフのスイッチが全員切り替わったのも見てて本当に格好良かった。そうです。チョロギャ日本代表はこういうギャップに即打ち負かされるのです。

4人共が身体を振り乱しながら演奏する姿が本当に、格好良かった。顔は見えなかったけど表情が見えなくても全員が真剣そのもので一心不乱なことは音からも伝わってくるし、ああもうなんかもうなんかもうって。なんて格好良いバンドなんだろう。やっぱりギターボーカルのバンドは演奏モードになると全員が演奏しだすからいいんだよ~~~それだけじゃないけど本当そこは、ギターボーカルバンドの良さとして外せない。

轟音がふっと静かになって最後のサビに向かうところ、「脱け殻の瞳を閉じて 口づけ交わした」って歌う平阪さんの目が、好きすぎて泣きそうになった。やっぱり平阪さんってどうしようもなく人間としての不器用さと優しさと哀しさが滲み出てきてしまうタイプのフロントマンで、弱さを隠そうともしない(もしかして隠せないのか?)姿に逆説的に強さを感じる。のが、まあ私が好きで仕方ないボーカルって感じですよね本当に……

最後のサビの後、轟音の中でもがきながら縋るようにして、何度も何度も必死に叫ぶ平阪さんがもう。はい。うん。好きです。なんかもう不様なくらい必死で、痛々しいくらいに自分を曝け出す姿は、目を反らしたくなるほどなのに反らせなくて、見ていてものすごく辛いし苦しいのに目を離せませんでした。

今まではこの部分、ギターを弾きながら、声にならない声を紡いでいたけど、この日はギターは全部投げ出して、腕はもがき苦しんで縋って手を伸ばすためのものだった。この表現が出来るのも、この体制だからこそなんでしょうね。あと、ここの部分は山本さんのベースの、平阪さんの代わりに歌っているようなフレーズが、優しくて綺麗で本当に好き。

全部が全部良すぎて何をどう説明したらいいのかもわからなくて、本当この日のうたかたのゆめについては書きたいことの半分もろくに書けないんだけど、とにかく、良かったんです本当に本当に良かったんです。ううううう。最高に月並みな言葉を言ってしまうと、一生忘れたくありません。

 

 

 

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ずっと終わってほしくなかったけど終わってしまって、しばらく何も考えられなくてぼーっとステージを見た後に、周りを見渡したら、私の知り合いの殆どの人が明らかに泣いた後の顔をしていて、「もうだめだ!」って思わず笑い合いました。私は自分の感情に自信を持てない人間なので、どうにかなりそうなくらいに心を動かされてしまったのが私だけではなかったということに、安心しました。

 

4人体制のbask in the deepは本当に格好良い。

格好良い、なんて言葉だけではとても全部の魅力を内包しきれないけど、私は語彙が貧困なのでそれ以外の言葉を上手く見つけることができません。

 

やっと表現したいものを表現できる体制になれた、やっとスタートラインに立てた、というようなことをメンバーさんたちがおっしゃっているけれど、今まで一瞬でもbask in the deepというバンドを好きになったフロア側の人達も、心のどこかでバスクがこうなってくれることを望んでいたのではないでしょうか。

というか、少なくとも私はそうです。一年前から必死というほどではないけどそれなりにちゃんと見てきたつもりだった私は、勿論大好きだから見ていたのですが、それ以上にこのバンドに何かが起こってくれることを願っていました。だから本当に嬉しかった。そのことは16日の後にも散々言ったと思うんですが、16日のときの何倍も何十倍も、その自分では叶えることのできないどうしようもない願いごとが叶ったように感じられて、嬉しかったです。

 

先月見たときに平阪さんの髪色が真っ黒になっていたの、本当は少し寂しかった(赤髪厨)し、もっといえば鎖骨が全く見えないような衣装になったことも寂しかった(平阪さんの鎖骨厨)んですが、挿し色の一つすらない新衣装にしたのは、もうそういうものが必要なくなったからなのかなって勝手ながら思っています。

平阪さんの髪色が赤くなくたって、上手には真っ赤なギターがあるし、衣装に挿し色なんていれなくたって淳平さんのギターが沢山の色を持ってきてくれる。わざわざ鎖骨なんて見せなくたってそのままで剥き出しの音楽をやっている。だから必要がなくなった、っていう、そういうことなのかなあ、なんて。

 

平阪さんのギターは身体の延長線上にあって、もはや平阪さんそのもののような、血と肉が通っているギターで大好きなのですが。逆に言えば決して平阪さんの肉体から離れることは出来ないギターなので、天才的な魔法使い系ギタリストの淳平さんの音が、平阪さんのギターでは表現しきれないことをいくつも実現させて、バスクの音楽を深く、広く、そして遠くに引っ張っていってくれるようで。それから、淳平さんのギターは黒基調で無骨なバスクに沢山の四季の色を描き出してくれる。今までもそうう四季の色はあったけれど、その一つ一つの色がより鮮やかに、深い色になって、色の数が何倍にも増えたように思えました。それに、淳平さんのギターの音は平阪さんと山本さんとしょーごさんの音も縫い合わせるように綺麗につなぎ合わせるし、本当に魔法みたい。魔法使いじゅんくん笑。

しょーごさんのドラムと山本さんのベースがつくる土台はもう言及する必要なんてないくらい元々しっかりした頼もしいものでしたが、その頼もしさもこころなしか倍増したような…だから、平阪さんと淳平さんは心置きなく自由にやれるだろうなあって。だから本当に、いいバンドだと思います。

 

 

こんなにいいライブを見せられた後で一か月お預けなんて、本当に酷なことをする人達だとは思いますが笑、見たい見たいとぼやきながら、12月までどうにかこうにか生き延びてやろうと思っています。

 

心から、その存在に、ありがとうございます。